the pillows / Please Mr. Lostman (CDレビュー)
※画像クリックで詳細表示
音楽業界への遺書
これはthe pillowsを語る上で絶対に外せないアルバムだ。
1997年にリリースされたthe pillowsの5thアルバム『Please Mr.Lostman』。このアルバムはthe pillowsがインディーズへの後退も覚悟してリリースされた「音楽業界への遺書」なのだ。
当時、the pillowsは『tiny boat』のセールス失敗や、周りのアーティストが 次々に売れていく中、成功することが出来ないという事実に対しバンドの方向性を探っていた時期だった。そんな中、the pillowsの未来を大きく変えることになる 『ストレンジ カメレオン』がリリースされる。周囲の反対を押し切って、半強制的にリリースされた『ストレンジ カメレオン』は今までのthe pillowsの音楽や活動を否定するような内容の歌だった。
そしてこの名曲『ストレンジ カメレオン』を含む『Please Mr.Lostman』は the pillowsの覚悟のアルバムだったのだ。『Please Mr.Lostman』以前のアルバムとは打ってかわって このアルバムはギター、ベース、ドラムといったバンドの軸となる楽器に重きを置いていてこれ以降のthe pillowsの音楽性の核となる楽曲が多く収録されている。この迷いの時期だからこそ歌えたのであろう名曲たちだ。
ベスト・アルバム『Fool on the planet』にも収録された、『TRIP DANCER』、『Swanky Street』をはじめとして the pillowsを代表する曲をいくつも聴くことが出来るアルバムだ。全体的に強調は暗めが多く、ミドル~ローテンポの曲が大半を占める。
このアルバムを初めて聴いたとき、正直に言うとそこまで好きになれなかった。なんたってちょっと暗めで、最近のthe pillowsにあるようなハイテンポで思わずのってしまうような曲はほぼ収録されていないから。でもこのアルバム『Please Mr.Lostman』は聴けば聴くほどに深みが増していくのだ。the pillowsの苦難と希望を同時に味わえるこのアルバム。the pillowsを好きになったのなら、是非とも聴いていただきたい。
「ねじ曲がった時代なんて関係ない 僕らは出会った」
そう、それが全てだ
01.STALKER
02.TRIP DANCER
03.Moon is mine
04.ICE PICK 05.彼女は今日,
06.ストレンジ カメレオン -ORIGINAL STORY-
07.Swanky Street 08.SUICIDE DIVING
09.GIRLS DON'T CRY
10.Please Mr.Lostman